COLUMN
コラム
こんにちは!デザイナーの瀬川です。
今回は私にしては珍しくちょっと真面目に、
「デザインの著作権と利用」についてお話します。
今回の内容は業界に関わらないとあまり知ることが無いであろう裏側のお話です。
だからこそ、これらを発信することでお客様の理解を得ることも私達の大切な仕事の1つ。
クライアントと制作会社とのトラブルの原因にもなりかねないことですので、
お客様のコンテンツを共に作り上げていく仲間として、
より良い信頼関係を築くためにもぜひ見ていただきたい内容となっております。
ちなみに、デザイナーの方々にとっては
「あー、あるある。。。(苦笑)」という共感が得られるかもしれません。
※あくまでもよくある例を元にした情報をまとめたものですので、より詳しい情報をお求めの方は専門家へご相談ください。
弊社で制作したデザインの著作権は弊社にあります
「制作料を支払っているのに?」と思われるかもしれませんが、
制作料はお客様からご依頼を受けたデザインを仕上げるための料金です。
そこに著作権に関する費用は含まれていません。
ですので、ご依頼頂き納品したデザインは著作権の譲渡を行わない限り弊社に著作権があります。
ちなみに一般的な制作料金の計算には以下のような要素が含まれています。
※公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)様の規定に則った場合
・実作業時間
・デザイナーのキャリアや知名度
・完成見本の制作や納品用データの整備作業
・制作するモノや用途、媒体、知名度による付加価値
・写真素材などの経費
この制作料金に、他媒体でも展開するためのリサイズ作業、画像合成やイラスト制作、撮影、印刷費用・・・などが、用途に合わせて上乗せされます。
デザインの使いまわし、ダメゼッタイ。

「作ってもらったパンフレットのデザインがとても評判がいいです!」
こういった嬉しい声が聞こえてくるのは作る側としても大変ありがたいことです。
「気に入ったので、webサイトにも使わせていただきました!」
そんなに気に入ってもらえたなんてとっても嬉しい!
って、おやおや?それはちょっとストップ。
依頼を頂いたのはパンフレットであり、webサイトに使うためのデザインとは聞いていません。
そしてよく見ると、納品したデータとデザインが変わっているような・・・足されたり、削られていたり・・・?
嬉しいお言葉を頂く反面、落差が激しい悲しいあるあるかもしれません。
どこがいけないポイントなのか見ていきます。
デザインの再利用には「二次利用料」が必要です
「パンフレットの表紙が気に入ったので、入稿データを再利用してポスターを作りました!」
上記の例のように、製作時の依頼と異なる用途でデザインの再利用することは「二次利用」と見なし、「二次利用料」が発生します。
二次利用料は利用先の媒体やそれがもたらす影響力によって異なります。
私達が受注という形でお客様と約束をしたのは「パンフレット」の完成品を納めること。
それが現物納品か、お客様ご自身で入稿するためのデータ納品かの違いです。
なんにでも使っていい魔法のデザインデータではありません。
事前にご相談いただければ、用途に合わせて柔軟に対応できたかもしれないのに・・・
ということもありますので、ご注意ください。
無断で手を加えることは法律で禁じられています
再利用するためにお客様ご自身が無断でデザインを改変したり、
修正や変更のために手を加えるのは法律違反です。
著作者人格権で認められた権利の1つ「同一性保持権」は、
著作者の意に反して変更、切除その他の改変を禁止する権利です。
この場合の著作者とは制作会社やそこに属するデザイナーを指します。
ご相談いただければ、用途によってお互いが納得できる形でのご提案も可能です。
必ず、事前にご相談ください。
デザイナーにとって元データは資産です

「バナーと統一感をもたせたコンテンツにしたいので、元の制作データをください!」
答え:原則として元データのお渡しはできません。
弊社で納品するデータは、バナーならJPEGやPNG、冊子ならPDFなど、ご依頼の用途に合わせた完成データのみ。
例外として、お客様自ら入稿を希望される場合のみ、その用途に限ってAiデータを提供しています。
IllustratorやPhotoshopで編集が可能な元データは、デザイナーの技術やノウハウ、そして将来得られるかもしれない利益が詰まった商売道具です。
そんな元データはもはや会社の資産。自分たちの資産を守るのは当然のことですよね。
ですので、まずは用途をお伺いししっかりとご相談させて頂き、
利用料を頂いた上で条件を定めて必要な部分のみお渡しするか、著作権の譲渡を行っています。
利用料を頂くよりも、弊社にご依頼頂き制作した方が安価の場合もございます。
それだけ大切なものであるということ、どうかご理解ください。
互いを尊重し合いより良い信頼関係を
誰でもデータを触ったり、モノづくりができてしまうツールがあるからこそ、
「自分でやればお金がかからない」という思いからつい手を加えたくなることもあるかもしれません。
しかし、デザイナーにとっての価値は成果物だけでなくこれまでの経験・スキル・アイデアです。
一度ご相談を頂いたからには、必ず良い結果として納められるようプロとして仕事をしています。
そしてそこには権利が発生することをどうかご理解ください。
これは弊社に限った話ではなく、業界全体に言えること!
お互いの仕事を尊重し信頼関係を築きながら今後も楽しくお仕事をさせていただければと思います。