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media美しいデザインとアクセシビリティは両立できる?新サービスの制作で実践した3つの工夫


こんにちは!デザイナーの西田です。
Webアクセシビリティ対応は、ユーザーにやさしいサイトを実現するうえで欠かせない要素です。
とはいえ、こんな不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
「アクセシビリティに対応すると、デザインの自由度が下がるのでは?」
「ブランドの世界観を損なわずに対応できるのか?」
確かに、アクセシビリティ対応には一定の制約があります。
でも、それを工夫で乗り越えることで、より多くの人に届き、ブランド価値を高めるサイトの実現が可能です。
今回は、弊社が公開した『ウェブアクセシビリティ向上支援サービス』のサイト制作を通して、アクセシビリティとデザインの両立をどう実現したかをご紹介します。
そもそも、なぜ両立は難しいと言われるのか?

アクセシビリティ対応を進めると、次のような課題がよく挙げられます。
- 色のコントラスト基準を満たすと、ブランドカラーが使いづらい
- フォントサイズや行間を広げると、デザインのバランスが崩れる
- 複雑な装飾やアニメーション表現が、かえって情報の受け取りづらさにつながることがある
たとえば、視覚的にリッチに見せるために導入した動き続けるアニメーションが、見る人によっては注意を引きすぎてしまい、本来伝えたい情報の妨げになることも。
これが、アクセシビリティとデザインの両立が難しいと言われている理由です。そのため、アニメーションや視覚表現を取り入れる際には、特に慎重さが求められます。
私自身、アクセシビリティに配慮したデザインに取り組む中で、何度もそうした葛藤を感じました。制作現場では、「デザインを取るか、アクセシビリティを取るか」という二択に陥りがちです。
でも実際には、両方をバランスよく実現することこそ、ユーザー体験の質を高める大切なポイント。
アクセシビリティ対応は、誰かのためだけではなく、すべてのユーザーにとって“伝わりやすく、使いやすい”Webサイトをつくるための道しるべだと考えています。
サイト制作時に掲げた目標と方向性
今回のサービスサイト制作では、以下の2つの目標を掲げました。
- WCAG 2.1 AAレベルの達成
- アクセシビリティとデザイン性の共生
さらに、トンマナやターゲットの設計に関してはおまかせいただいたので、次のような方針でデザインを進めました。
想定ターゲット
- 自社サイトのWebアクセシビリティを向上させたいが、何をすればいいか分からない方
- アクセシビリティ対応を外部の専門家に相談・依頼したい方
- 自社サイトのアクセシビリティ達成度を把握したい方
デザインの方向性
- 「ワンストップ」の印象を強調
→ アクセシビリティ対応が直感的に完結するイメージを、「線の流れ」のモチーフで表現 - 包容力・信頼感のあるデザイン
→ 「すべての人を包み込む」ような優しさ、落ち着き、上品さを軸に設計 - キーワード:上品/安心感/透明感/明るい未来/“楽になった”感覚
- NG:かわいい・ゆるいテイスト
→ 企業担当者に「信頼して任せられる」と思っていただけるよう、信頼感・安心感を重視
- 統一感のあるビジュアル
→ 以前制作したアクセシビリティに関するチラシのアクセシビリティモチーフを活かし、資料とデザインの一貫性を意識


実際に行った3つの工夫
『ウェブアクセシビリティ向上支援サービス』のサイトデザインでは、
「アクセシビリティ」と「デザイン性」の両立を実現するために、特に次の3点を意識しました。
① カラー選定は“機能美”を意識
アクセシビリティ対応の中でもデザイナーが特に気をつけるべき点が、色の組み合わせによる“見やすさ”の確保です。
今回は、背景と文字やボタンとの「コントラスト(色の差)」を十分にとることを前提に、見やすさを確保しながらも、落ち着きのある印象や、信頼感を与えられる色合いになるよう工夫しました。
- 単に色を濃くするのではなく、明るさやトーンの異なる色を組み合わせて、やさしい印象を保つ
- 重要な情報には自然と目が行くように色でメリハリをつけ、読みやすさと誘導性を意識
- 上品さや透明感が伝わるよう、色の選び方そのものを“伝え方のひとつ”と考えて設計
コントラストの基準を満たすことはもちろん大切ですが、見た目の心地よさやブランドイメージも崩さないように配慮することも、アクセシブルなデザインには欠かせないと実感しています。
② タイポグラフィで情報の優先度を明確に
サイト上の情報は、「文字の見え方」ひとつで、読みやすさや理解しやすさが大きく変わります。
アクセシビリティ対応としても重要なのが、ただ文字を大きくするだけでなく、「どの情報がどれくらい大事か」を見た目で伝えることです。
今回のデザインでは、次のような工夫を行いました。
- 見出し・本文・補足など、役割ごとに文字の大きさや太さを整理
→ どこが大事な情報なのかが、パッと見て分かるようにしています。 - 文字と文字のすき間(行間や文字間)を調整
→ ぎゅうぎゅう詰めすぎたり、逆に間延びしすぎないよう、読みやすいバランスに整えました。 - 情報が多いページでも、スムーズに読み進められる流れを意識したレイアウトに
→ 「見出しをざっと読むだけでも内容がつかめる」ようにしています。
③ボタンのパーツを「使いやすい形」で統一
アクセシビリティに対応したWebサイトをつくるうえで、ボタンやリンク、入力フォームなどの「Web上の操作パーツ(UI)」をサイト全体で統一し、使いやすく整えることがとても重要です。
今回の制作では、特にボタンまわりのデザインをルール化することで、誰にとっても迷わず使える設計を意識しました。
- 色やサイズ、押したときの反応(ホバー・フォーカス)などを統一
→ 見た目がバラバラにならないようにし、ユーザーの迷いをなくすことを意識しました。 - ボタンが「何をするものなのか」が一目で分かるように設計
→ たとえば「資料をダウンロード」ボタンなら、見た目や配置だけでなく、どんな動作が起きるのかが明確に伝わるテキストを使っています。
美しさと使いやすさを両立するために
「見やすさ」は“美しさ”の一部。
誰もが迷わず操作できることが、結果として企業の信頼感にもつながります。
最初からアクセシビリティを意識して設計することで、あとから直すのではなく、自然に使いやすいサイトができあがる──それが今回の制作を通じて、私自身が強く感じたことでした。
アクセシビリティは、限られた人のためのものではありません。
誰にとっても「やさしいWeb」をつくるための、大切な視点だと実感しています。
今回の記事では主にデザイン面からのお話を中心にご紹介しましたが、実際のWebサイト制作では、構築を担当するエンジニア側の工夫や配慮もアクセシビリティの達成には欠かせません。
たとえば、見た目は同じでも「正しく読み上げられるようにHTMLが構造化されているか」「キーボード操作がきちんと機能するか」といった点は、コードレベルでの細かな対応が求められる部分です。
デザイナーと開発者が連携して同じ方向を向くことで、初めて“本当に使いやすいWebサイト”が形になる。
今回のプロジェクトでも、まさにそうしたチームの力が支えてくれました。
まとめ
「アクセシビリティ対応=デザインの妥協」
そんなイメージは変わりつつあります。
制約があるからこそ、本質的に伝えるべき情報がクリアになる。
そして、すべての人にやさしいWebは、企業のブランド価値を高める大きな力になります。
弊社ノベルティの『ウェブアクセシビリティ向上支援サービス』では、診断から改善提案、デザイン・実装まで、ワンストップでサポートできる体制を整えています。
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