ノベルティメディア
mediaアクセシビリティカンファレンス福岡に参加しました!
こんにちは!アクセシビリティスペシャリストエンジニアの山田です。
11/30(土)に開催されたアクセシビリティカンファレンス福岡に、シルバースポンサーとして社長と二人で現地参加してきました!アクセシビリティカンファレンスは第一回からオンラインで参加していたので、こうして現地で参加できたことは夢のようでした。
初の福岡、初の現地参加。ドキドキとワクワクがいっぱいです・・・!当日まで、どんなお話が聞けるのかな♩友達100人できるかな♩と飛び跳ねながらお仕事していました。本当です。
今回はカンファレンスの様子や、学びを活かして社内で実行したことをお伝えしていきます!
\ノベルティでもウェブアクセシビリティ向上支援をしています!/
前夜祭
カンファレンスの前日にLINEヤフー株式会社の福岡オフィスで開催された前夜祭に参加しました!
心なしかエンジニアの方が多い印象でした。かくいう私もエンジニアですが。
背景の壁のデザインも素敵です。インテリアがとにかく良くて、社長が横で「あれいいな、これいいな」とつぶやいていました。
ノベルティのオフィスがガラっと模様替えする日も近いかも?
LINEのキャラクターにテンションが上がりました。でか!!!
スタッフの方が「台湾には6mのクマがいます」と教えてくださりました。6mて。
会場には卓球台の上にLINEのステッカーが置かれていました。
社長は「卓球台いいな・・・」と言っていました。私は卓球が恐ろしいほど全くできないのでその感覚はあまりわかりませんが、オフィスに卓球台があるのは運動不足解消になるので良いと思います。
ぐ・・・かわいい・・・ゼンブホシイ・・・と心の中唱えながら、2枚だけいただきました。
前夜祭では下記の5社の方が登壇され、それぞれ社内でのアクセシビリティの取り組みを発表されていました!
今後、アクセシビリティの取り組みを進める上でヒントになったことがたくさんありましたし、参考にして実践に繋ぐことができたものもありました。今までのこういったアクセシビリティのイベントは一個人として参加することが多かったのですが、今回会社として参加して、「今後の活動にどう活かせるか」に軸を置いてお話を聞くことができたことのは、とても大きな進歩でした。
イベント終了後の交流会では、アクセシビリティの取り組みをしている方とお話しました。社内で進めることの難しさ、エンジニアだけでなく社内全体で進めることの重要性は、どの企業でも直面している課題だなと感じました。
主催者である株式会社ディーゼロのゆうてんさんをはじめ、私のバイブルであるWebアプリケーションアクセシビリティ──今日から始める現場からの改善の著者の一人である株式会社freeeの伊原さんなど、他にもたくさんの方とお話させていただきました。本当に本当に・・・心から嬉しかったです!頑張る気持ちの炎が燃えさかります!
イベント当日
まだかなまだかな〜と待ち侘びていましたが、あっという間にイベント当日です。
会場は警固神社の社務所ビルでした。社務所!?
会場の横には神社があり、とても雰囲気が良いところでした、イチョウの木が生い茂って、気持ちの良い風が吹いて・・・。1階にはブルーボトルコーヒーがありました。福岡って自然あり都会あり、素晴らしい街です。
エレベーターの前ではボランティアの方が「アクセシビリティカンファレンス福岡 会場」などと書かれたパネルを持ってらっしゃいました。もうすでにアクセシブル。ありがたすぎる。
アクセシビリティサービスのパネルを設置しました
会場後方にはパネルが並んでいるエリアがあり、ノベルティもアクセシビリティサービスのパネルを設置しました!
パネルがたくさん並んでいるのを見ると、こんなにアクセシビリティの取り組みをしている会社があるんだなと嬉しくなりました。熱心にパネルを読む方の姿も見受けられました。
私はノベルティのデザインをチラシでしか見たことがなかったのですが、パネルで見ると迫力があります。
何度も「いいな〜持って帰りたいな〜♩」と言ってしまいました。届けてくれるっちゅうねん。
制作したデザイナーに確認したところ、「一見すると飾りのように見えるデザインですが、アクセシビリティに関連のある10個のパーツを使用して意味を持たせている」とのことです。
印刷は厚盛りニス加工を採用しており、アクセシビリティに関連するテキストなどをぷっくりさせているようです。チラシも触ってみるとぷくぷくしていて楽しいです。
「デザインとアクセシビリティは両立できるというメッセージを込めて作りました」と、燃える一言もいただきました!
心なしか、このデザインを見ると心がシャキっとします。会社のみんなの背中を押してくれる、そんなパネルです。
ブースをひとまわり
セッションが始まる前に、ブースが出展されているエリアを散策しました!
Androidと機器を繋いで点字のラベルを発行できるブースがあり、私も自分の名前で体験してみました!これを機に点字を勉強したくなりました。自分の名刺に点字入れたい。
他にもPC-Talker(Windows用のスクリーンリーダー)の体験もしてみました。晴眼者向けしか使用したことがなかったため、どんな読み上げなんだろう?とワクワク列に並びました。声のトーンが声優さんみたいに上手で、とても聞き取りやすかったです。
PC-Talkerでは声を変えることができるのですが、それぞれ声の主に名前がついており、「この名前も変えられるんですか?」とよくわからない質問をしてしまいました。変えられないそうです。ふむ・・・
他にも、おやつブースではかわいいおやつや美味しいコーヒーをいただけました!ありがたいです。
セッション
あれよあれよという間にセッションの時間になりました。なんて充実したイベントなんだ。(まだ始まっていません)
今回の講演の内容は、アクセシビリティに取り組み始めた私にとって、とても衝撃的なものでした。
簡単にまとめられるものではなく、まとめたくもないのですが・・・それでは記事にならないため、要点だけまとめます。
セッション1:障害は乗り越えられるべき課題なのか?
登壇者:田中みゆきさん キュレーター、プロデューサー
登壇者プロフィール
「障害は世界を捉え直す視点」をテーマにカテゴリーにとらわれないプロジェクトを企画。表現の見方や捉え方を障害のある人たち含む鑑賞者とともに再考する。近年の仕事に、映画『ナイトクルージング』(2019年)、21_21 DESIGN SIGHT企画展「ルール?展」(2021年)共同ディレクション、展覧会「語りの複数性」(東京都渋谷公園通りギャラリー、2021年)、『音で観るダンスのワークインプログレス』(KAAT神奈川芸術劇場ほか、2017年〜)、『オーディオゲームセンター』(2017年〜)など。2022年ニューヨーク大学障害学センター客員研究員。美術評論家連盟会員。2024年7月に初の単著『誰のためのアクセシビリティ? 障害のある人の経験と文化から考える』を出版。共著に『ルール?本 創造的に生きるためのデザイン』(フィルムアート社)がある。
エイブリズム(健常者の価値観に基づく差別)の課題や、当事者の生きられた経験を踏まえたうえで、アクセシビリティを当事者と共に進める重要性についてお話いただきました。
アクセシビリティに取り組むことは重要ですが、単に障害に対するバリアを取り除くだけでは問題の根本的な解決にはなりません。なぜなら、障害がある以前に一人の人間であり、それぞれの文化や経験がその人の自己決定や自己実現に深く結びついているからです。
田中さんは「アクセシビリティは人権です」とおっしゃっていました。人権はすべての人に等しく保障されるべきものであり、そこに例外はありません。
私たちがアクセシビリティに取り組むのは、なぜでしょうか。製作者が使いやすいWebサイトを、チェックリストを満たすために「作ってあげる」のではなく、初めから(障害の有無に関わらず)全ての人に向けたデザイン・実装であるべきなのではないでしょうか。
私を含め、会場にいる多くの方々が、アクセシビリティに取り組み始めてからここに辿り着いたと思います。しかし、本来であれば、取り組む前に知っておくべき内容であり、それだけ重要かつ核心をつく、素晴らしいセッションでした。
衝撃的すぎて、帰宅してすぐ田中さんの著書である「誰のためのアクセシビリティ? 障害のある人の経験と文化から考える」を購入しました。見開き3ページ目の言葉で号泣してしまったのは内緒です。
最初に田中さんのこのお話を聞いたため、以降のセッションでも人権や当事者の生きられた経験を土台に考えることができました。
セッション2:アクセシビリティをあたりまえにするまで
登壇者:坂巻舞羽さん SmartHR アクセシビリティスペシャリスト
登壇者プロフィール
幼少期にホームページ制作を嗜んだことをきっかけに、2014年マークアップエンジニアとしてキャリアをスタート。フロントエンドエンジニアとして数社でウェブサイトやウェブアプリケーションの開発に携わる。ウェブ標準に準拠した開発を重要視し、社外コミュニティで関連文書の勉強会などを主催。2023年、SmartHRに入社し、アクセシビリティスペシャリストとしてプロダクトのアクセシビリティ向上推進を担当。
SmartHRのアクセシビリティへの取り組みについてお話しされていました。SmartHRさんといえば、今回のカンファレンスの主催者のゆうてんさんの言葉を借りるのであれば「日本で一番アクセシビリティに取り組んでいる会社」・・・!
アクセシビリティチームの発足から、達成したことや今後の課題について発表されていました。SmartHRさんのイベントにはオンラインを含めて何回か参加させていただいているのですが、アクセシビリティ方針を含めたSmartHR Design Systemが印象的です。今後、社内で共有して取り組みの参考にさせていただきたいです!
また、「やさしい日本語」のアプローチも発表されていました。実際に一緒に働く方が難しい言葉に対して不便そうにしているのを見て、改善に至ったそうです。行動力の鬼だ。
私はエンジニアで普段Webサイトの「言葉」をつくることはしないのですが、ワイヤー設計の作り始めの段階でわかりやすくやさしい日本語を取り入れることができたら良いなと思いました。
坂巻さんは「SmartHRのアクセシビリティをマイナスからやっとゼロにすることができた」とおっしゃっていました。この変化をもたらすまで、きっと想像できないほどの時間と労力を費やされたのだろうなと思います。何かを変えたいだけじゃなく、実際に行動に移せる人はかっこいいです。
カンファレンス終了後の懇親会で、坂巻さんと少しだけお話させていただく機会があり、「SmartHRさんのように、アクセシビリティを・・・当たり前にしたいです!」と一方的に宣言しました。
セッション3:手話CG KIKIが繰り広げるインクルーシブ社会の実現
登壇者:小谷野崇司さん
登壇者プロフィール
1996年ニューヨークの音楽情報サイトSonicNetにおいてデジタルガレージ社と共同でSonicNet Japanの立ち上げと運営を行う。チベタンフリーダムコンサートやFuji Rock Festivalなど大規模コンサートのライブ配信に携わる。03年に帰国しNHKエンタープライズに入社。冬のソナタのウェブサイト構築や大河ドラマや朝ドラのデジタルコンテンツ制作に携わる。東京オリンピック・パラリンピックではウェブサイト制作統括を努めた。この時に手話CGの運用にも携わり、現在はそれを進化させたKIKIの開発に取り組んでいる。
手話CG動画を自動生成するデジタルヒューマンKIKIの開発工程や実際の動きなどをご紹介いただきました。
KIKIは日本語の手話だけでなく、英語手話や国際手話にも対応しています。スライドに3人のKIKIが並んで、順番に手話を披露している姿が印象的でした。
キャラクターの見た目やストーリーの決定プロセスも興味深い内容でした。例えば、KIKIの兄は聴覚障害があり、友人とKIKIとフェスやパーティに行くストーリーがあります。この背景には、「生きられた経験」や「文化」を重視する視点が反映されており、田中みゆきさんのセッションでも取り上げられていたテーマと重なります。
また、KIKIの手話CGには、手話通訳者のプライバシー保護という重要な役割も担っています。手話通訳が必要な場面でCGが代替することで、通訳者の方の負担軽減にも貢献しています。
KIKIは「東京2025デフリンピック応援アンバサダー」に就任しています。今から目が離せません!
セッション4:選挙のアクセシビリティ
登壇者:野田純生さん アルファサード株式会社創業者 技術担当取締役
登壇者プロフィール
ウェブアクセシビリティチェックツール開発者。2017年から「やさしい日本語」言い換えエンジンの開発に取り組み、サービス名「伝えるウェブ」として提供。 2024年4月より株式会社朝日新聞社 技術顧問に就任。朝日新聞デジタルをはじめとしたデジタルメディアのウェブアクセシビリティ向上、やさしい日本語の普及に取り組む予定。
選挙のためのアクセシビリティをテーマに発表いただきました。主に選挙公報や政見放送、選挙報道のアクセシビリティに関してご紹介されていました。
選挙権は重要な人権の一つであり、人権を実現するためのものでもあります。
選挙公報の読み上げ対応や政見放送の字幕は、政党によって取り組んでいるところとそうでないところの差があり、印象的でした。
選挙公報のPDFのスクリーンリーダーの読み上げデモでは、「イメージ、イメージ...」と読み上げられたら会場が「う〜ん」となり、ちゃんと内容が読み上げられたら「おお〜!」と声が上がりました。情報にアクセスできるって素晴らしいです!
選挙公報はすぐに非公開や削除されてしまうことが多く、視覚障害がある方が情報にアクセスできない問題も見受けられました。選挙に参加したいのに情報が得ることができないのは、合理的配慮に欠けているとも言えます。
これを機に、今後選挙の際には選挙公報のPDFを読み上げで試してみようと思いました。もし自分がPDFを作成することがあったら、読み上げ対応できるように制作したいですね。
次はどうする
最後の野田さんのセッションを聞きながら、「選挙にもやさしい日本語が必要だよなあ」などと感じていました。
カンファレンスの良いところは、一つ一つが独立したセッションになっているのではなく、一つの線として知識や考えを繋げることができる点です。
今回学んだことや感じたことを胸に、社内での取り組みに活かしていきたいと思います!まだまだスタートラインに立ったばかりです。
次にどうした
ということで、カンファレンスから帰ってきてすぐに、3つの取り組みを行いました!
WCAG読み合わせ会を開催
アクセシビリティカンファレンス前夜祭でヌーラボさんが発表されていた「WCAG(ウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン)読み合わせ会」を参考に、社内で開催しました!
社内でアクセシビリティへの知識を当たり前にするにはどうすれば良いのか課題に上がっていたため、これは良い!と思い、社長に提案したら秒で通りました。
毎週決まった曜日に、ラジオ感覚で開催し、WCAGを読みながらお互いの想いをぶつけるバトルをしようと思っています。どんとこいや!
新人研修でアクセシビリティ勉強会を実施
新しく入社した方に、アクセシビリティとは・なぜ取り組むのか・ノベルティのアクセシビリティの取り組みなどをご紹介しました。今後社内でアクセシビリティを当たり前にするために、絶対に全員が通る道にしようと思っています。絶対に。
写真には写っていませんが、カンファレンスのブースでディーゼロさんが配布されていた冊子がとてもわかりやすかったため、こちらも社内で回し読みし、知見を深めています!
フォントサイズをpxからremに変更
こちらもヌーラボさんが発表されていたものになります。
フォントサイズを絶対値にすると、OSの文字拡大機能を使用することができません。そのため、社内のエンジニアやデザイナーと相談し、フォントサイズをremを採用するように決定しました。
これから新たに始まるプロジェクトにおいて、順次採用していこうと思います。小さな一歩、されど大きな一歩です!
おわりに
今回のアクセシビリティカンファレンス福岡に参加して、取り組みに対する意識が変わりました。
今まではオンラインで参加していましたが、現地参加するとやはり会場の熱量を感じて良いです。やる気が出ます!燃えます。
「誰もが快適に、ウェブを使える」社会に向けて、これからも一歩ずつ着実に、取り組んでいきます!
ノベルティでは、ウェブアクセシビリティ向上支援を行っています。
ウェブサイトの診断だけでもOK!ぜひお気軽にご相談ください。
おまけ
イベント終了後の懇親会で、社長が数百人の中から13人にしか当たらない点字のクジを当て、モバイルアプリアクセシビリティ入門── iOS+Androidのデザインと実装をゲットしました!強運〜〜!!!
私の名前の末尾が「り」で、点字クジの末尾と同じ形をしていたため、「あたり」と分かりました!嬉しいです。
イベントの次の日、帰宅した日に読んで、さっそく社内で回し読みしています!ありがたや。
福岡は美味しいものがたくさんあって幸せでした!また行きたいです〜!
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